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銃は愛の結晶

(下ネタ的な意味で)

ソ連の小口径高速弾開発からアバカン計画への推移の個人的纏め

 

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 皆さんはBFシリーズSTALKERシリーズに登場するユニークな武器、AN-94アバカンをご存じだろうか。ロシア贔屓オタクや、銃オタク諸氏にとっては多くの場面で見かける愛着の深い武器であると思う。言うまでもなく、筆者もBFシリーズなどで1800発/分を超える超高速バースト射撃にお世話になっているFPSでは定番の銃だ。

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 なかなかの狂気じみた動作機構やまったく普及しない境遇、呆れるほどの整備性の悪さなど、多くの方がネタにしていることだと思う。しかし、オタク諸氏もアバカンの開発過程や試作品、完成までに試された様々な動作機構については知らない方も多いのではないか。(というよりは筆者もしっかりわかっていない)資料自体は洋書等でまとめられ、ソ連試作銃の中では多いほうではあるが、詳細な資料は非常に少なく非常に多くの謎がある。この記事ではそこら辺の分かっている情報を日本語で纏めたいと思う。


!!!注意!!!
 筆者はロシア語ができない。一切話せない。ここの情報は筆者がインターネット上の英露辞書、機械翻訳に頼って断片的に調べたものだ。であるから間違えていることを前提にしてほしい。筆者もロシア語話者の修正を期待してこの記事を書いている。
 筆者もこの辺はわからないことが多く、自分の備忘録、勉強の意味合いでこの記事を作成しているので、むしろ素人に等しい。試作銃やソ連銃器の知識に自信のある諸氏は、間違いやその疑いのある記述を見つければできるだけ知らせてほしい。それと、この記事は様々なものから情報を転載したものだから、利益目的で無ければ転載を時に禁止するつもりはない(転載するほどのものでもない)が、「違うやろダボが」とか「ニワカ乙、行ってヨシ」とか「こんなことも言われないとわからないのか」とか言われても責任はとれないので、もしも転載するのなら各自で責任を取ってほしい。

 

もくじ

 

小口径高速弾の開発

 皆さんは映画や小説、それにゲームなどで、古参兵が「M-16は糞、中ってもベトコンが死なない」(注:実際は当たっていないだけ)といった趣旨の発言をしたシーンを見たことがあるだろうか。そういった考えを持った米兵の中にはM-14を選んだり、ごくごく少数ながらも北ベトナムのAK-47やAKMなどの7,62mm大口径アサルトライフルを鹵獲装備したりと、様々な工夫を凝らしていた兵士がいたという話をよく聞く事もあるだろう。筆者も多くの書籍や番組等でよく耳にする。

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画像は関係ない

 アメリカ人はこのころから小口径高速弾の威力に悩んでいたが、ソ連ではまだまだ大口径弾が主役であった。ソ連で小口径高速弾の開発が行われるようになるのは60年代初頭からで当時はまだまだ試作段階だった。ご存じの方もいるのでは居ないか、これがいわゆる5,6x39-ммである。

f:id:hayabusa-kun:20161127160321j:plain5,6x39-мм弾


 5,6x39-ммはロシアの中央(略)研究所”ЦНИИточмаш”(TsNIItochmash)の前身である研究所”НИИ-61”(NII-61)が1961年にЦНИИточмашに改編される直前に研究のを始めたカートリッジで、武器の反動軽減、初速の高速化、携行可能な弾薬の増加を期待して研究された。開発はサベリニコヴァ技師(注;В. Сабельникова発音がよくわからない)が監督となり、いくつかのチームに分かれ行われたようで、その内のリリー・ニチェエヴァ技師(注:Лиля Нечаеваトゥーラの大学の教員とのこと。詳細不明、情報求む。)とそのアシスタントのチームが開発した。これのベースは1943年の7,62-мм弾で少なくとも1963年ごろには完成していたと考えられる。なぜならば1963年にはこの弾薬を使用した改修型AKMアフタマート 5,6мм口径が最初に完成しているからだ。
 この試作は従来の7,62-ммサンプルよりも35%少ない反動の運動量と、1.8倍少ないリコイルエネルギーが計測された。ここからソ連防衛省は小口径高速弾が次期小銃に最適と結論を出した。「現在のアフタマートはフルオートでの命中率が低い。これを解決する最善の手段はやはり反動運動量の削減だろう。」(意訳)という考えを示し、正確なフルオート射撃の可能な反動量の許容範囲を、0.5kgf/sまでと示した。この条件に適合し、弾頭に空洞を設けることで殺傷力を上げた中間弾、5,45х39-мм弾が開発されていった。
 1966年12月から5,45-мм口径のアフタマートを次期主力小銃とすることが決まり、1968年からコンペが開催されることとなる。(余談だが5,45х39-ммが開発されるまでのつなぎとして5,6мм口径で試作された銃は多々あり、この試作はなかなか興味深いものが多い。1972年ごろの試作には謎の5,6ммケースレス弾まであるほどだ。紹介したいのだが、時間的な都合でいつになるかわからないので、皆さんに是非調べてみてみてもらいたい。)ちなみに日本語圏ではAKシリーズの設計者、ミハイル・カラシニコフ技師は当時小口径化に反対したという話があるが、出典は不明。(でもカラシニコフがコンペに勝ったからAK-74が制式採用、カラシニコフ強すぎぃ!)
 ここまでロシア側での都合を列記したが、要はアメリカのAR-15がAKMを超えたグルーピングだったために中間弾の開発が急がれただけの話である。しかし第二次大戦前、40年以上前にフェドロフ技師がフェドロフ自動銃(もしくはフェドロフ自動小銃)に使用した日本製6,5×50-мм有坂弾に回帰したのは、とても興味深いことである。

 

 

反動自動安定化機構

 先程、カラシニコフ技師が小口径弾の採用に反対したという話があると述べたが、当時カラシニコフ技師は大口径弾の欠点を補う新たな機構を開発し始めていた。これが1964年のAKM試作だ。

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 画像でお分かりいただけるように、この試作にはAKMからかなりの改良が施されている。AKMではガスチューブのあった場所、ここに円盤が設置され、ボルトキャリアの形状は電動ガンのように妙な形をしている。極めつけにはフロントサイトやダストカバーさえも無い。資料が非常に少ないが、円盤の意味だけは分かっている。これはフルオートでの射撃精度を上昇させるための反動抑制装置だ。

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 反動抑制装置の内部構造は詳しくは不明であるが、円盤の内部には射撃に連動して回転する左右2つの部品が内蔵されているとされる。フロントサイト基部から円盤に接続されている骨組みのような部品がガスチューブに結合され、発射で発生した燃焼ガスがこの部品を通り円盤内部の回転する部品に吹き付ける構造になっている。この部品はガス圧により円盤内部を回転、前身し円盤内部のどこかの点で何らかの部品に衝突する。これによって前方への運動エネルギーが発生する。一方で機関部ではボルトが後退し切り、後方への運動エネルギーが発生する。この前方への運動エネルギーと後方への運動エネルギーは同時に発生し、つり合いが保たれ、相殺される。これによって反動が抑制される。さらにボルトストロークが短縮され、発射レートがAKMの600発/分から880発/分に上昇する。こういう機構だ。(わかり易く書けた自信がない)



AKM反動抑制機構試作

 

ТТХ
弾薬      7,62×39-мм弾
重量      3.3kg
全長      860mm
銃身長     415mm
連射速度    880発/分
装弾数     30+1

 ソ連での反動抑制機構はカラシニコフの物が最古と考えられるが(注;これより古い反動の相殺を目的とした機構を採用した銃があればご連絡を。)これはあくまで試作だった。おそらく見た目通りに実用的ではないだろうと考えられるし、ソ連技術士官も同じことを考えただろう。しかし翌年の1965年には実用的な反動自動安定化機構(正式名称は存在しないようだ)を備えた試作品が開発される。それがAO-38だ。

f:id:hayabusa-kun:20161127161228j:plainAO-38


 AO-38は先述したЦНИИТОЧМАШが開発した5,45-мм口径のアサルトライフルだ。英語圏でBARSと呼ばれる現在の反動自動安定化機構の元祖となるもので、ЦНИИТОЧМАШのディレクター、ピョトール・アンドレィヴィチ・トカチェフ技師が設計開発を担当した。 

 1968年には5,45-мм口径の次期主力小銃採用コンペが開催され、AO-38と同様の反動自動安定化機構を備えたトカチェフ技師のАГ-021(AG-021)や、コンスタンティノフ技師とその助手カクシャロヴィム技師(注;С. Кокшаровым技師、発音がよくわからない。)によるСА-006(SA-006)など多数の試作が提出されている。しかしここで一つ一つ紹介していくと際限が無くなるので、紹介はまたの機会にする。

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АГ-021

 

f:id:hayabusa-kun:20161127162346j:plainСА-006


 トカチェフ技師がカラシニコフ技師のAKMの反動抑制機構試作に影響されたかは不明だが、少なくとも彼は小銃の反動を制御する研究に興味があったらしく、5,6x39-мм弾の開発以前にはЦНИИТОЧМАШで初めてアメリカ製5,56-мм口径弾を輸入し研究を行っていて、ЦНИИТОЧМАШで反動の軽減に関する論文等も書いていたようだ。(5,6x39-мм弾の開発に携わったような記述もあるが、筆者はロシア語がまったく話せないため詳細はわからない)

СИСЗ

 СИСЗ(SISZ)は多くの方にあまりなじみのない単語だろう。これははロシア語の«смещенный импульс свободного затвора»の短縮語でAN-94の反動吸収機構を説明される際に使われる用語だ。これは(筆者の語学力で誤訳すると)短周波反動吸収ブローバックといった具合の意味で、銃身やボルトなどの部品一式が発砲と同時に後退し反動を抑制する機構だ。
 この機構の発祥は1965年試作、トカチェフ技師のAO-62だとされる。こちらはわかっている性能がかなり少なく、インターネット上で見つかる写真も一枚しかない。リコイルオペレーション方式の銃で5,45х39-мм弾を使用する。特筆すべきは1800発/分の3点バーストで、H&K社のG11よりも早い段階で試作されている。

f:id:hayabusa-kun:20161127161103j:plainAO-62


 ここでは便宜上СИСЗと表記するが«со смещенным импульсом»などと呼称され、アバカン計画時にはロシア語でも固有の名詞は存在しなかったようだ。こういった機構が暴かん計画以前から存在し、アバカン計画でも要求される精度の問題をクリアするために取り入れられた。
 

ここまでつらつらと書き綴ったが、やっとこさ本題のつもりだったアバカン計画に入る。

小銃開発計画”アバカン”

  アバカン計画の原型は1978年に始まった。これは5.45 mmのカートリッジを使用する高効率自動銃の開発を目的ととした防衛省の計画だった。ソ連は元々60~70年代にかけての小口径高速弾の開発でフルオートの精度向上を目指していたが、やはり克服はできなかった。したがって、この計画にはそれを補うという重要な目的があった。具体的には5-10発の連発の精度を向上し、新兵の命中率を経験豊富な古参兵の命中率に近づける狙いだ。これが高速バーストの原因となる。さらにAK-74の信頼性を維持し、グレネードランチャー、光学照準器、銃剣なども既存の物が使えることが要求された。この性能の評価は精度や重量等の性能全てを加味する「戦闘効率」という基準で行われ、AK-74を0とし、これに比べた割合で有効性を評価した。
 計画の開始当初は閣僚会議からの正式な計画概要は無く、アバカン計画という名称もなかったようだ。しかし、計画の開始から3年がたった1981年8月27日、ソヴィエト連邦閣僚会議が閣僚会議令第280でこの計画を承認し、正式に「アバカン」の名称が与えられた計画としてスタートした。これはシベリア南部ハカス共和国の首都であるアバカンの名を冠した計画だ。この計画に示された戦術技術要件は「フルオート、バーストでAK-74の性能を1.5から2倍超える銃」で、ЦНИИТОЧМАШの指導の下トゥーラ、イジェフスク、コヴロフ、クリモフスクの研究所、武器工場が参加した。これに在籍する10の研究チームが参加、計12個の試作品構想を作り、そのうち8のチームが設計した8個の試作案が1984年8月から1984年11月までに完成した。これがトライアル第一段階に提出された。

ЦКИБ СООからは

  • ТКБ-0111(コロボフ技師)
  • ТКБ-0136(アファナシェフ技師)
  • ТКБ-0146(ステーチキン技師)


デグチャレフ記念工場からは

  • АЕК-971(カクシャロフ技師とガレフ技師)
  • АЕК-978(ピキンスキー技師)


イジェフスク兵器工場からは


イジェフスコヴォ科学技術研究機構(Иж- НИТИ«Прогресс»)からは

  • АПТ(ポストニコフ技師)


      (技師の経歴、紹介は後々やりたいと思う。)
これらの試作は3つのコンセプト分類することができる。
 クラシックスタイル(通常型)
  ТКБ-0111
  ТКБ-0136
  АПТ

 СИСЗ
  ТКБ-0146
  АС

 反動自動安定化機構
  АЕК-971
  АЕК-978
  АЛ-9

 1984年11月にこれらの試作案の予備試験が開始され、防衛省と砲兵総局はこれらの中から候補を選出した。この時点では最も有力視されていたのはТКБ-0146だった。АПТはこの段階でアバカン計画から脱落する。АПТは後述する信頼性の低い動作機構が原因で計画が破棄された。これに加えてТКБ-0111はアバカン計画ではなく、オプションとしての開発を進められたうえ、性能が不十分であると判断され、設計の見直しが行われた。そのほかにも設計の修正、試作機の製造などのために18か月の期間が与えられた。
 1986年5月から6月にЦНИИТОЧМАШでトライアル第二段階が開始された。この際АЛ-9はАКБに置き換えられ、ЦНИИТОЧМАШの試作したАО-63がトライアルに参加することになった。
 トライアル第二段階のテストは非常に多岐にわたった。砂塵、水滴の影響下での射撃、高低温下での射撃、高射角での射撃などあらゆる状況を想定してテストが行われ、射撃精度と戦闘効率を測定した。だがこのテストは数か月以内に終了している。テスト時に試作機はよく破損したようで、多くの技師はそれを嫌っていたという。破損時には交換部品を金属のしっかりとした部品ではなく、仮の物を用いたことが多かったそうだ。テストは無事に終わったが、この試験ではいずれの試作も砲兵総局のТТТ(тактико-техническим требованиям戦術-技術必要水準)のうちフルオート射撃の精度、大きさと重さ、その他細部の要求のどれかを満たすことができなかった。精度の要綱に至っては基準を超えたのはАСとАО-63だけだった。これを受けて砲兵総局は欠陥の修正に3か月の猶予を与えた。
 1986年10月からトライアル第二段階の後半が開始された。この段階に至るまでのどこかでАЕК-978はАЕК-978Вに改良され、ТКБ-0136はТКБ-0136-Мに、そしてТКБ-0136-3Мに改良されたようだ。そのほかの試作も名称は変わらないが様々な改良がなされ、外見が大きく変わったものもある。このテストからの結果は資料によって異なる記録がされている。ここではロシアの雑誌 «Ружье.Оружие и амуниция»98年第1号の記載をとりあえず信用する。これによると、この時ニコノフ技師はАСに加えてАСの改良型であるАСМを、ビクトル・カラシニコフ技師はАКБの改良型АКБ-1を提出した。その他の試作は大幅な改良には時間が足りずデザイン、トリガーメカニズム、銃口デバイスの改良に終始し、ТКБ-0111、АЕК-971、АКБ-1はアバカン計画から脱落したとされる。
 テストではAC、ACM 、ТКБ-0146が優れた精度を示し、、初めて全ての要求を満たした。テスターの全員が立射で銃を保持でき、ストックを肩に着けなくとも撃てるほど反動が少ないことを賞賛したという。この銃はバースト射撃が非常に速い速度で、まるで単発かのように見えたそうだ。
 結果としてАС、АСМ、ТКБ-0146が要求をクリアし、そのうち最も性能の高かったАСМが改良を重ね、遂に制式採用АН-94の座を手に入れた。



 

 アバカン計画の推移はこういった具合になる。では参加した試作銃器のわかっている情報も纏めておきたいと思う。

一覧

ТКБ-0111(TKB-0111)
 ЦКИБ СОО(TsKIB SOO)のコロボフ技師の試作自動銃。名称は1936年に発足したЦКБ-14(TsKB-14)から使用されている軍用兵器のインデックスより0111番。このインデックスは1946年3月4日にЦКИБ СООに改編されてからは番号頭に0が付く。基となった銃は1967年にコロボフ技師によって試作されたТКБ-072で、これは2200/500(バースト時/フルオート時)発/分の連射速度だった。70年代ごろから設計を始め、1973には完成している。カラシニコフの自動銃よりも精度が優れていたとされる。性能はアバカン計画では不十分だったようだが、通常の自動銃としてみると中々悪くはなかったようだ。博物館に現存しているらしい。

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ТКБ-0111
ТТХ
口径       5.45mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       クラシックスタイル
バースト     3発
連射速度     1700/500(バースト時/フルオート時)発/分
全長       930mm
重量       3690g



ТКБ-0136
 詳細な記録は無い。ЦКИБ СООのアファナシェフ技師の試作自動銃。バーストが可変式と非常に珍しい。名称はЦКБインデックスより0136番から。

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ТКБ-0136-3М
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       クラシックスタイル
バースト     2発もしくは5発
連射速度     2000発/分
全長       938mm
重量       3570g



ТКБ-0146
 ЦКИБ СООのステーチキン技師の試作自動銃。ブルパップ式、左右どちらの肩でも使える。名称はЦКБインデックスより0146番から。バレルの下には銃剣やグレネードランチャーの接続基部が備え付けられている。セレクターは左面にあり、П(P)-安全装置、0-А-セミ・フル・バーストを切り替えられる。セミ・フル・バースト切り替えの方法は筆者の語学力が原因でよくわからない、しかし動作機構の解説や分解写真など詳細な情報がインターネット上で見つかるので余裕がある方は調べてみてほしい。

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ТКБ-0146
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ
バースト     2発
連射速度     2000/400(バースト時/フルオート時)発/分
全長       794mm
重量       3840g



АС(AS)
 イジェフスク兵器工場に在籍していたニコノフ技師の試作。筆者がソ連銃器オタクの複数の方にTwitter上で伺ったお話によると、どうやら幾つかの試作ではマガジンが射撃と同時に前後運動するらしい。
 1981年当時に試作された物はブルパップレイアウトで、1983年までニコノフ技師により改良と工夫がなされていたようだ。

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АС仮称1号機(НА-4(NA-4))
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ?
バースト     ?
連射速度     1800/600(バースト時/フルオート時)発/分
全長       ?
重量       3830g
装弾数      30+1

 1983年にはブルパップレイアウトを改めトラディショナルレイアウトの試作を行った。トラディショナルレイアウトとはいえるが弾倉は右側面に装着され、これは外装に対して高速で前後運動を起こす。これは欠点と考えられ、周囲の物や人間に当たるとして改良を求められた。

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АС仮称2号機(AO-222)
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ
バースト     ?
連射速度     1800/600(バースト時/フルオート時)発/分
全長       ?
重量       3180g
装弾数      30+1

 1986年に試作された物は通常のトラディショナルレイアウトで、弾倉の位置は通常のレイアウト同様だ。この時点ではАН-94(AN-94)のようにプーリーを用いているかは不明で、マガジンの傾きがあるかもわからない。しかしマガジンの前後運動は健在で、周囲のものに当たらないようにするためかカバーのようなものが付属している。

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АС仮称3号機
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ
バースト     2発
連射速度     1800/600(バースト時/フルオート時)発/分
全長       ?
重量       4070g
装弾数      30+1

 この他«Ружье.Оружие и амуниция»98年第1号に記載されている試作のデータを記載しておく。

АС仮称4号機
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ
バースト     3発
連射速度     2000/500(バースト時/フルオート時)発/分
全長       970mm
重量       4000g

*2017年1月1日追記

なんか他にも試作の画像があったから載せる。

 

f:id:hayabusa-kun:20170101084128j:plainАС-1、АС試作1号機(Д-201(D-201))

どうやらこれが最初の試作らしい

f:id:hayabusa-kun:20170101083406j:plainАС試作5号(ВС-229(WS-229))

 

 

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АС試作6号(ПУ-192(PU-192))

 

 


АСМ
 イジェフスク兵器工場に在籍していたニコノフ技師の試作。この試作を改良したものがАН-94であり、性能はАН-94に準ずると考えられる。1986年から1987年にかけて少なくとも3つの試作がなされ、1988年から90年にはそれを超える多数の試作がされている。しかし、機関部には大きな改良は無く、人間工学の適応、ポリマー部品の導入、大量生産に向けた細部の簡略化、追加デバイスの使用感改善などが行われたのみであるようだ。改良の結果全長はАК-74に近づいたという。ちなみにAK-74から精度は7から13倍向上し、1.5〜2倍に戦闘効率の向上を達成した。

1986-87年までの試作

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1988年以降の試作

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*2017年1月1日追記

なんか他にも試作の画像があったから載せる。

f:id:hayabusa-kun:20170101084237j:plainАСМ試作7号機(ОК-158)

 

f:id:hayabusa-kun:20170101084316j:plainАСМ試作8号機(МА-49)

 

f:id:hayabusa-kun:20170101084504j:plainАСМ試作9号機(МА-50)

 


АСМ
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       СИСЗ
バースト     2発
連射速度     1800/600(バースト時/フルオート時)発/分
装弾数      30+1発



АЛ-9
 詳細不明、АЛ-7の改良型...?

АКБ(AKB)
 イジェフスク兵器工場に在籍していたビクトル・M・カラシニコフ技師(AKの設計者ミハイル・カラシニコフ技師の実子)の試作、開発や選考にはAKの開発者であるカラシニコフ技師の助言や圧力もあったようだ。

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АКБ
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       反動自動安定化機構
バースト     2発
連射速度     2000/1000(バースト時/フルオート時)発/分
全長       ?
重量       ?


АКБ-1
 先に述べたАКБの改良型、バースト機構が無くなっている。

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АКБ-1
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       反動自動安定化機構
バースト     なし
連射速度     800発/分
全長       938mm
重量       3790g


АЕК-971(AEK-971)
 非常に有名な銃で解説も多数存在するため、割愛する。

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АЕК-971
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       反動自動安定化機構
バースト     3発
連射速度     1500発/分
全長       1000mm
重量       3790g


АЕК-978
 詳細不明、デグチャレフ記念工場のピキンスキー技師による試作。

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АЕК-978В(AEK-978V)
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       反動自動安定化機構
バースト     なし
連射速度     1000発/分
全長       980mm
重量       3660g


АО-63
 存在の確証がない。おそらくЦНИИТОЧМАШのシモノフ技師とトカチェフ技師による試作。銃身が二本あるとされ、«Ружье.Оружие и амуниция»98年第1号には口径、動作方式、バーストの発射数、連射速度、全長、重量の情報が示されている。

АО-63
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     ガス圧作動方式
機構       ?
バースト     2発
連射速度     6000/850(バースト時/フルオート時発/分
全長       890mm
重量       3680
銃身数      2本


АПТ(APT)
 Иж- НИТИ(Iz-NITI)のポストニコフ技師による試作。動作方式はガス圧作動方式だが、英語圏でプライマーアクチュエーションと呼ばれる物に近い奇妙な撃発機構を備えている。撃針でプライマーを突き破り、そこから噴出する”ガス圧”でボルトを後退させるというものだ。これにより高速の連射が可能とされる。しかし、これは非常に危険な動作方式であり計画でも最初期に没となった。

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АПТ
ТТХ
口径       5.45 mm
動作方式     プライマーアクチュエーション型ガス圧作動方式?
機構       クラシックスタイル
バースト     ?
連射速度     ?
全長       ?
重量       ?




まとめ
 列記したように、ロシアでは60年代初頭(フェドロフ自動銃を含めると10年代)から自動銃の命中精度を高めるために、ありとあらゆる工夫を凝らしていたことがお分かりいただけただろう。弾薬の改良や特徴的な反動抑制機構、さらに高速バーストはここから生まれた。これらは常軌を逸した物ではあるがソ連の銃器デザイナー、技術者の努力の粋を集めた、まさに「ソヴィエトロシアの技術の結晶」だ。結果がどうであれこれほどまでのアイデア、技術力を持った彼等、技術者達に尊敬と敬愛を込めて賞賛したい。
 それと、この長ったらしい記事を最後まで読んでくれた読者の方へ。いかがだっただろうか?多くの問題や課題を解決する工夫が、少しでも読み取れただろうか。筆者の拙い文章でそれを感じていただけたなら、これ以上ない喜びである。もしも更に興味があるのなら、是非ソ連銃火器史に深く突き進んでほしい。
 最後にソ連銃器オタクの方へ、もしこの記事を読んだのなら間違い、誤植が沢山見つかると思う。どうかこれを指摘してほしい。加筆を加えながらも精度の高い記事にすることができたらとてもうれしく思う。

これでとりあえずまとめは終わろうと思う、最後まで読んでくれてありがとう。